アメリカでは、近年、火葬を希望する人も急激に増加してきていますが、まだまだ主流は土葬となっています。 アメリカもヨーロッパと同じく、キリスト教徒が多く、死者は復活するという概念がありますので、土葬をすることがほとんどでした。 しかし、世界的にも火葬にシフトする流れもあり、アメリカでも火葬場は徐々に増えてきています。 火葬教会が誕生したり、火葬の方が費用があまりかからないからという経済的理由から、 教育水準の高まりにより火葬を受け入れやすくなったことなどの影響により、火葬率も徐々に上がってきています。 ただし、田舎の方ではまだまだ土葬が主流です。 近年の調査によれば、火葬を選んだ人への人々の態度も批判的なものではなく、 土葬に比べ、経済的で土地を無駄に使用せず、環境を考慮した葬法だと、むしろ良い印象であるという結果が出ています。 しかし、まだまだ土葬率も高く、埋葬は宗教的な背景から死後数日経ってから、 また参列者の事をまずは考えて週末に埋葬が行われるため、遺体は数日間保存しておく必要があります。 そのため、エンバーミングを行う率が90%以上と高いです。 エンバーミングは、古代のオイルやハーブを使ったミイラにまで遡りますが、急速に発展したのは、1860年代のアメリカの南北戦争の時代です。 当時、交通手段の事を考えると遺体を国に帰す時にとても長い時間がかかってしまう事から、遺体保存の高さというものが必要とされたためでした。 エンバーミングとは、遺体を修復したり消毒そして腐敗しない為の薬剤などを使って長い時間遺体を腐敗させないで保存する事が可能になる方法の事です。 日本の葬儀屋さんが行うような、遺体の下にドライアイスを置いて白い衣装を着せて化粧をするといった簡単なものではなく、 遺体からガスや血液を除去し、洗浄、防腐剤の注入といったような、解体解剖的な要素を含む処理になります。 必要とあらば顔などに化粧を施したり、見た目をよくする復元技術なども含まれてきます。 エンバーミングを行うことで、遺体は見た目も綺麗に保たれますし、細菌の発生を防ぎ周りの人への感染を防ぐこともできるのです。 ただし、現代のエンバーミングは、古代のミイラのように遺体を永久保存するのではなく、 死亡から埋葬までの期間、遺体をきれいな状態で保存し、死体感染を防ぐことを目的とするものです。 アメリカでの火葬は、日本の火葬炉よりも火力がかなり高く、骨が残らないレベルまで焼却され、どこの骨なのか分からないような状態になります。 火葬した後、遺族の手元に残された遺灰は、全てお墓に安置されるわけではありません。 墓地に安置される場合には、骨つぼのまま埋葬されたり、納骨堂に安置されたり、墓地敷地内に設けられた場所に散灰されたりします。 墓地以外では、骨つぼを自宅に安置したり、海や湖などの水上や思い出の地などに散灰されたりします。 骨つぼのデザインも、故人の趣味になっていたり、素材も様々で、選択肢がたくさんあるのも自由な発想のアメリカらしい習慣のようです。
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