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Channel: 世界のお墓いろいろ
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イスラム教の葬儀

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イスラム教では、信者が危篤になるとイマーム(礼拝の導師)が呼ばれ、コーランを唱え、神(アッラー)に許しと慈悲を乞い、聖水を口に含ませます。 イスラム教徒では、仏教のような輪廻転生の概念はなく、死を一生の終着点と考えず、アラーの審判の日に再び蘇ると信じられており、火葬は禁止されています。 「火」は「ナール」とアラビアでは言い、地獄を意味する言葉なのです。 最後の審判でよみがえるためには、遺体が必要なのです。 土葬しなければならないため、急いで執り行う必要があるため、大抵の場合は、亡くなった翌朝には埋葬の場に向かうことになります。 急いで行われる理由には、気温が高い国なので遺体が腐敗しやすいということ、また一晩遺体を置くことに恐怖心を抱いているからと言われています。 遺体は、同性の親族か遺体の後処理をする人たちが洗浄し、腐るのを防ぐために薬液をかけられるのです。 家族は防腐処理が済んだら、弔問と葬儀の前に、葬儀場に集まり遺体を洗います。 コーランでは、死者の陰部を3回新しい布で洗う、まだ一度も使われていない布で口を洗う、さらに鼻孔を洗う、顔を洗う、左右の手を洗う、頭のてっぺんからつま先まで洗い、死者を清めると規定されています。 清めは家族の中の同性の方かそれかまたは配偶者の方によって行われるのが望ましいとされ、石鹸と香水などが使われるのです。 遺体を洗い終わると、無地の白い(モスリンの)布でくるみ、その後、モスク(礼拝所)へ運ばれます。 布で包む際には、故人の顔と手を覆わないようにして、遺体を完全に包みます。 イスラム教の実際に行われている葬儀では、棺などは使用せずに白い布でぐるぐるに包んでからそのままで埋葬されるのです。 ただし、家族が希望する場合には木製の簡単な棺を用いることもあります。 遺体は説教壇(ミンバル)の前にある台に、イマームとの間に安置され、コーランの文字が書かれた布で覆われます。 そして、イマームに従い、礼拝が執り行われるのです。 礼拝は通常とは違い、立ったまま行われます。 礼拝が終わると、遺体は、棺架に乗せられ、葬列をなして墓場へと移動されます。 遺体は、棺に入れる場合と入れない場合がありますが、右脇腹を下にし、必ず、顔をメッカの方向に向かせて埋められるのです。 葬儀の祈祷は、Jamazah Namaaz と呼ばれるアラーへの祈りが、男たちのみによって唱えられます。 また、職業としての「泣き女」がタンバリンを持ち、葬儀に参加することもあります。 泣き女は、残された者の代わりに、悲しい・辛い・寂しいという感情を、ぶつけ大暴れして表現することを生業とする女性の事です。 悪霊払いや魂呼ばいとしての役割もあると言われています。 葬儀が終わると、棺は墓穴に運ばれ埋葬されます。 故人の親族の女性たちは、4ヶ月と10日間、男性たちは3日間だけ、喪に服すように言われているのです。 この期間というのは派手な生活は一切できず、服装も地味なものと決められています。

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